こんにちは。ぶ~ちゃんです。
甲州街道歩き旅もいよいよ9日目を迎えました。今回は「韮崎宿」を出発し、名水の里「台ケ原宿」を目指して歩みを進めます。
この区間のハイライトは、何といってもその圧倒的な景観美。平和観音に見守られ、風情ある祖母石(うばいし)の集落を抜け、釜無川にかかる橋の上からは360度の大パノラマが広がります。
しかし、美しさの裏には「旅の計画」における難しさも潜んでいました。これから歩く方のために、現地のリアルな交通事情や絶景ポイントを余すことなくお伝えします。それでは、風を感じる旅へ一緒に出かけましょう!
甲州街道の旅 9日目-1
難所?韮崎~台ケ原間の旅計画について
本編に入る前に、この区間を歩く上で非常に重要なお話をさせてください。 実は、韮崎宿を過ぎると、甲州街道(国道20号)と鉄道(JR中央本線)が地理的に離れてしまう区間に入ります。
- 日帰り派の方へ: エスケープルート(途中離脱)が限られます。バスは運行していますが、1日10本未満という地域も多く、事前の時刻表確認は必須です。駅まで歩く場合も距離があるため、体力と時間に余裕を持った計画が必要です。
- 宿泊派の方へ: 街道沿いに宿がほとんどありません。街道から離れたホテルを予約し、そこまでの移動手段(タクシーや送迎、バス)を確保する必要があります。
「妻は夫の決めた計画に乗っかるのみ…」という我が家のスタイルですが(笑)、今回は事前のリサーチが功を奏しました。しっかり準備さえすれば、この不便さも旅のスパイスになりますよ。
韮崎駅
さあ、韮崎駅からスタートです。今日も素晴らしい晴天に恵まれました。
ホームに降り立つと、朝日に照らされた観音様が遠くに見え、旅の無事を祈ってくれているようです。ふと視線を移せば、雪化粧をまとった富士山の姿も。澄み切った空気に、身が引き締まる思いです。


韮崎宿散策つづき
午前9時。旅の起点はここ「本町交差点」から。ここは佐久往還(佐久甲州街道)との分岐点でもあり、古くから交通の要衝として賑わった場所です。歴史の交差点を踏みしめ、西へと向かいます。

雲岸寺(窟観音)と七里岩
前回、帰路に立ち寄った雲岸寺。ここから見上げる七里岩(しちりいわ)の断崖は迫力満点です。残念ながらこの角度からは岩上の観音様のお顔は見えませんが、その巨大な岩塊が韮崎の地形を物語っています。

平和観音
街道を進むと、ついに平和観音様がその姿を現しました。関東三観音の一つにも数えられるその白亜の姿。これから進む方角は観音様の背中側になりますが、背後からしっかり見守っていただいているという安心感があります。

しばらく歩くと、釜無川沿いを走る新しい道へと合流します。ここからは、自然と歴史が入り混じるエリアです。合流地点には「水神宮」が祀られています。西には南アルプスの山々の景色が望めます。


十六石
合流して200mほど進んだ場所に、「十六石」の石碑と案内板を見つけました。
これは戦国時代、武田信玄公が釜無川の治水工事の際、堤防の根固めとして巨大な石を埋めた遺構と伝えられています。現在の風景の中にその巨石は見当たりませんでした。

街道歩きの楽しみの一つ、路傍の石仏たち。ここにも立派な常夜灯と地蔵菩薩がいらっしゃいました。いつの時代も、旅人の足元を照らし、心を安らげてくれた存在です。


水難供養塔
道の分岐点には「水難供養塔」が立っています。これは、1959年に発生した台風で犠牲となった方々を供養するために建てられたものです。
近代に至っても、釜無川の水害は地域の人々をたびたび苦しめていたことがうかがえます。先ほどの水神宮や十六石など、釜無川と向き合い続けてきた人々の歴史を物語る石碑が多く残されているのが印象的です。

この分岐を右に進みます。
左手の前衛の山の稜線から覗く雪化粧をしている山は鳳凰三山(?)でしょうか。
右手には、壮大な七里岩の絶壁が続いています。


祖母石(うばいし)の集落
10:00
午前10時。静寂に包まれた「祖母石」の集落へと足を踏み入れます。
ここが素晴らしかった! なまこ壁の蔵や、茅葺き屋根の名残を感じさせる武家門を持つ家々。まるでタイムスリップしたかのような、昔ながらの街道の空気がそのまま保存されています。




左手に「神明宮」が現れます。

その少し先、街道右手に「南無阿弥陀仏名号碑」があります。地元では「赤地蔵」と呼ばれているそうです。

釜無川と橋からのパノラマ
集落を抜け、国道20号と合流・横断し、いよいよ釜無川を渡ります。ここからが本日のハイライトです。


釜無川
長野・山梨県境を北流し、山梨県西部を南東に流れる川なんだブ!富士川の上流部にあたるんだブね。川の長さは約64キロメートルで、流域面積は277平方キロメートルなんだブ。すごく大きい川なんだブ。武田信玄によって治水の礎が築かれたんだブ。
橋の上に立つと、そこは風の通り道。吹き荒れる強風に恐怖すら感じましたが、足を踏ん張って顔を上げると、言葉を失うほどの絶景が待っていました。
橋の中央から七里岩方面(東側)を見ます。七里岩の上に「新府城跡」があります。

南側、遠くにそびえる富士山。
過去何度も登っている富士山ですが、あの頂上に立っていたと思うと感慨深いです。
前景の釜無川流れとても綺麗な景色です。川の水面は強風で波立ち、キラキラと輝いています。

北側、遠くに雪化粧して見える山々は「八ヶ岳」でしょうか。西側に目を向ければ、「南アルプス」の壮大な景色が広がっています。
360度、どこを切り取っても絵画のような大パノラマ。風に吹かれながらも、しばらくその場を動けませんでした。

徳島堰(とくしませぎ)
午前10時半。桐沢川を渡り、坂を登って「徳島堰」沿いの道へ。
これは山梨県最大の農業用水路で、江戸時代に開削された歴史ある堰です。前日の雨の影響か水量は豊富で、勢いよく流れる水の音が心地よいBGMになります。


徳島堰
灌漑施設の総称で、山梨県で一番大きな農業用水路なんだブ。
釜無川の右岸にある韮崎市円野町上円井地先で水を取って、南アルプス市曲輪田新田まで17キロメートルほど続く用水路があるんだブ。春になると、堰沿いに植えられた桜の木が一斉に咲き出して、すごくきれいなんだブ!
堰沿いの高台からは、甲府盆地や周囲の山々を一望できます。里山の風景は、歩く速度だからこそ味わえる贅沢な眺めです。


堰沿いにあった寺社です。



この辺りは蔵のある民家が点在していて風情があります。

カフェ「WHITE BASE」 & さんぽ道みはらし台
食事処が極端に少ないこのエリアで、砂漠のオアシスのように現れたカフェ「WHITE BASE」。
今回は時間が早く立ち寄りませんでしたが、ランチや休憩には貴重なスポットです。
カフェの入口に「さんぽ道みはらし台」という休憩場所がありました。雰囲気ありますね。
ここから撮影した富士山です。ベンチに腰を下ろし、富士山を眺めるひととき。美しさに見とれて、再出発するのを忘れそうになります。


午前11時。「戸沢橋」から改めて七里岩を望みます。どこまでも続く断崖の壁はまさに圧巻。自然が作り出した巨大な城壁のようです。

韮崎からここまでは、山沿いの起伏こそあれど比較的平坦で、歩きやすい道のりでした。 何より、富士山、八ヶ岳、南アルプスという日本の名峰たちに四方を囲まれながら歩く体験は、甲州街道の中でも格別なものでした。
交通の便は少し不便ですが、それを補って余りある絶景と歴史の深さがここにはあります。 次回はさらに奥へ、台ケ原宿を目指して歩きます。どうぞお楽しみに。
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