こんにちは。ぶ~ちゃんです。
今回は蒲原宿西木戸から海沿いの道をひたすら西へ進み、16番目の宿場町「由比宿」を目指します。
潮風を感じながら歩を進めると、目に飛び込んでくるのは歴史的建造物と「桜えび」の文字。江戸時代の面影を色濃く残す本陣跡や、大名行列の防衛ライン、そして駿河湾の海の幸まで、由比宿は知的好奇心も胃袋も満たしてくれる最高の宿場町です。当時の旅人の気分を味わってみてください。
東海道11日目-③
桜えびの香りに誘われて由比宿へ
蒲原宿西木戸から約3km、海沿いの道をひたすら西へ進みます。

このあたりから、街のあちこちに「桜えび」の看板が目立つようになってきました。実は国内で唯一、桜えびの漁獲が許可されているのは駿河湾だけで、水揚げされる港も静岡市の由比漁港と焼津市の大井川漁港の2カ所のみ。歴史ある宿場町への期待に胸を膨らませる私をよそに、ぶー妻ちゃんの頭の中はすっかり桜えびのことでいっぱいのようです。


東名高速道路を過ぎると、由比本陣公園の案内があります。


由比宿の道標も現れます。由比宿もすぐそこです。

案内板の対面側に「銘酒正雪」の蔵元「神沢川酒造場」があります。
由比出身の軍学者・由比正雪にちなんで名付けられました。

江戸日本橋より三十九里目「由比一里塚」
300mほど進んだところに江戸日本橋から数えて39番目にあたる一里塚があります。現在は塚や樹木などの遺構は残っておらず、案内板がひっそりと立つのみです

由比宿東桝型跡
その先、宿場の東口にあるのが「由比宿東桝型跡」です。桝型(ますがた)とは、道を直角に二度曲げることで外敵の直進を阻むクランク状の防衛線跡です。宿場町が有事の際には要塞として機能することを前提に設計されていた証拠ですね。

由比宿御七里役所跡
少し歩くと「由比宿御七里役所跡」の看板が見えます。ここは紀州徳川家が、江戸藩邸と和歌山城を迅速に結ぶために独自に設置した専用の通信局跡です。幕府の正規ルートとは別の専用通信ネットワークがあったなんて、大名の力の強さを感じますね。


由比本陣跡
七里役所を過ぎると、由比宿の中心「由比本陣跡」に到着します。薩埵峠の東麓に位置する重要な宿場で、約1,300坪という広大な敷地を誇りました。現在は「由比本陣公園」として綺麗に整備されています。

表門や石垣、木塀、馬の水飲み場などが往時の姿を彷彿とさせる形で再現されており、タイムスリップしたような感覚に陥ります。園内には明治天皇がご休憩された離れ座敷「御幸亭」が復元・公開されているほか、「静岡市東海道広重美術館」や「東海道由比宿交流館」も併設。浮世絵の芸術性と歴史を同時に学べる、東海道歩きには欠かせないスポットです。




由のや
由比といえば「桜エビ」ですよ。ちょうどお昼どきだったので、由比宿本陣前にある「由のや」で食事をすることにしました。
店舗として使用されている建物は、昭和5年(1930年)に建造された「町屋造り」の豪商古民家です。



築90年を超えるこの歴史的建造物を丁寧にリノベーションし、梁や柱、建具、火鉢など往時の造形美や面的な情緒をそのまま活かした空間として再生されています。
歴史情緒ある空間の中で、店主こだわりの本格手打ち蕎麦と、由比ならではの駿河湾の恵みを堪能できました。



絶対に食べてほしいのは「桜えびのかき揚げ付そば膳」だブ!北海道産そば粉の手打ち蕎麦は、ツルッとなめらか!最初の一口をお塩でいただくと、お蕎麦の甘みがふわぁ〜っと広がるブ!桜えびのかき揚げは、お膳の後に揚げたてアツアツを持ってきてくれるんだブ!薄衣でサックサク、口の中で桜えびの香ばしさと甘みが大爆発するブ!甘めのだし巻き卵や、お出汁が効いた変わりご飯も絶品で、もうお箸が止まらないブ!歩き疲れた体に染み渡る、最高のおいしさだブ〜!
居心地の良さにすっかり長居してしまいそうでしたが、重い腰を上げて出発。帰り際に、お店のご夫婦から可愛らしい「ストローエビ」を頂きました。手作りの温かさに触れ、旅の素敵な思い出がまた一つ増えました。

お腹も満たされたところで、どんどん進んでいきます!
正雪紺屋
こちらも本陣前にある染物屋「正雪紺屋」です。江戸幕府転覆を企てた「慶安の変」の首謀者・由井正雪の生家と伝えられています。約400年前から続く古風な建物の奥から、藍染の独特な香りが漂ってくる気がします。

脇本陣温飩屋・明治の郵便局舎
本陣を補佐する宿舎跡である「脇本陣温飩屋」と、近代郵便制度初期の局舎である「明治の郵便局舎」があります。和風の街並みの中にぽつんと現れるレトロな佇まいが可愛らしいですね。

加宿問屋場跡
本宿の業務過多を補完した補助村の施設跡である「加宿問屋場跡」です。由比宿では本宿と加宿が1ヶ月交代で問屋場業務を担ってたそうです。
現在は、由比に因んだ「桜えびサブレー」と「正雪もなか」を販売する老舗和菓子店「松風堂」となっています。この日はあいにくの定休日でした。おやつを期待していたぶー妻ちゃんの背中が少し寂しそうでした。

清水銀行 本町特別出張所
大正14(1925)年に庚子銀行本店として建てられた、ギリシャ神殿風の正面意庁が特徴的な近代洋風建築です。旧東海道由比宿の町並みにおいて極めて特徴的な景観を形作っており、国の登録有形文化財に指定されています。文化財でありながら現在も現役の銀行窓口・ATMとして営業を続けているんですね。

由比宿 西木戸跡
宿場の西口を示す「由比宿西木戸」案内板まで来ました。ここには桝形跡もあります。これで由比宿の防衛ラインを通り抜けたことになります。


由比川橋
由比川は、常設の橋を架けることが幕府によって制限・禁止されていた川でした。天候が良い時は臨時の仮板橋が架けられて旅人が行き往来していましたが、大雨が降って水量が増すと板橋は即座に取り外され、川を渡ることができなくなる「川留め」が行われました。

歌川広重の浮世絵『東海道五十三次』の「由井」にも、この由比川を渡ろうとする旅人の姿や、川を渡った先にある難所「薩埵峠」の山越えに挑む前の情景が描かれています。
高欄部に浮世絵のパネルが設置されていました。


せがい造りと下り懸魚
しばらく歩くと由比特有の装飾的町屋構造である「せがい造りと下り懸魚」の家が現れます。軒を深く張り出す実用的な造りに加え、本来は寺社仏閣の屋根に使われる「懸魚」を軒下に飾るこの意匠は、由比宿の商人たちの極めて高い美意識と経済的余裕を証明しています。


信仰と生活、桜えびの町並み
由比は江戸時代の史跡と現代の生活がとても自然に混ざり合っています。
駿河國二之宮 豊積神社
東海道沿いの有力神社である「駿河國二之宮 豊積神社」です。「駿河國二之宮」としての高い格式を誇ります。




この神社、実はあの坂上田村麻呂ゆかりの地なんだブ。延暦16年(797年)、東国遠征の途中にここで戦勝祈願をし、見事勝利。帰路にお礼参りで神楽を奉納したんだブよ。その時に村人たちが大太鼓を打ち鳴らして三日三晩祝宴を開いたのが、今も由比で1,200年以上続く伝統行事『由比のお太鼓祭』の起源とされているんだブ。歴史が現代のお祭りに直結しているって、最高にロマンがあるブね!

いちうろこ
豊積神社より500mほど歩いたところにある「いちうろこ」、文政年間創業、200年以上の歴史を紡いできた蒲鉾・黒はんぺんの老舗専門店です。由比の豊かな漁業文化を背景に、新鮮な青魚を石臼で骨ごとすり潰す伝統的な製法を守り続け、濃厚な旨味を持つ「手造り黒はんぺん」や、特産の桜えびを練り込んだ製品を提供しています。

江戸時代の要塞としての顔、豊かな海がもたらす桜えびの恩恵、そして商人たちの美意識が共存する由比宿。歴史のロマンに浸りながら絶品のお蕎麦でお腹を満たし、身も心も大満足のひとときでした。
さて、いよいよ次に向かうのは、東海道屈指の絶景ポイントであり難所でもある「薩埵)峠」です。広重の浮世絵に描かれたあの景色を、自分たちの足で確かめに行きます!次回の更新もぜひお楽しみに。
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